少女たちの、哀切なイノセンス、秘密、そして心ふるえる美しさを描いた世紀末文学の金字塔、初邦訳。 彼女たちは、なぜここに来て、そしてどこへ去っていくのか?―――閉ざされた森の庭園で暮らす少女たちの、類いまれな運命の物語 ‘ミネハハ=笑う水’という謎めいたタイトルをもつこの物語は、世紀末芸術がヨーロッパを席巻していた頃、ドイツの不世出の劇作家であり小説家のフランク・ヴェデキントによって執筆されました。 高い塀で外界から遮断された森の学校で集団生活を営む少女たち–彼女たちはある日ここに運ばれ、音楽とダンスの授業のみを受けながら、自然に中で日々成長していく–は、一体どこから来て、何のために、‘ここ’で暮らし、そしてどこへ去っていくのか? 不条理演劇の生みの親とされるヴェデキントが、1903年に、少女の心と身体の表情を驚くべき筆致で綴った、少女と自然の美しさ、フェティシズムにあふれる名作です。 翻訳に初挑戦したのは、雑誌の連載などで文章の美しさには定評のある女優・市川実和子。ヴェデキントのエッセンスを忍耐づよく継承しながらも作品世界の機微や揺らぎを、歌うように、ため息をつくように彼女独自の言葉で紡いでいきました。“ミネハハ”の少女たちがのりうつり、心と身体をわかちあったかのような翻訳で珠玉の一冊を生み出しました。
- 書名
- ミネハハ
- 著者
- フランク・ヴェデキント、市川実和子
- 仕様
- 四六判変形 / 128ページ
- 発売日
- 2006年10月01日
- ISBN / Cコード
- 978-4-89815-186-0 / C0097
- 定価
- 1,650 円(本体 1,500 円+税)