役者はいなくても、目で文字を追っていくなかから、
人物たちが肉体を持って立ちあがってくる快感。
人物同士が交わっては離れ、言葉を操り言葉に操られ、
状況を動かし状況に動かされ、
間違っても意味やメッセージには着地しない。
その途方もなく豊かな右往左往。
── 柴田元幸(オビ文より)
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混迷の時代の「現在」を描く──2000年代の傑作選。
●劇作家デビューから35年、岩松了戯曲集、待望の第二弾完成
●舞台演劇の「現在」を後世へと語り継ぐ大著、堂々の524ページ
多くの俳優が作品への出演を熱望し、唯一無二の作風は、観る者を圧倒的に魅了する──。
映画、ドラマ、CMと、俳優としても幅広く活躍する岩松了が、舞台演劇の世界で生み出してきた傑作から、2000年代を代表する作品を選りすぐりました。
上演とともに大きな話題を呼んだ2022年夏の作品「青空は後悔の証し」を早くも収録。
軽妙なユーモア、謎、恋、権力、戦争、友情、父と息子、家庭……単行本未収録作品を含む、さまざまな愛の5作品を収めた、現在進行形の傑作選が誕生しました。
全演劇ファン必携の一冊です。
[収録作品]
夏ホテル シブヤから遠く離れて 羊と兵隊 いのち知らず 青空は後悔の証し
*岩松了本人による解説エッセイ収録
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人は「過去」を言葉でくくり、
意味に昇華して安心しようとする。
言葉以前の、事象とも呼べないものが
散らばっている「現在」を私は描きたい──
[プロフィール]
岩松了(いわまつ りょう)
1952年長崎県生まれ。劇作家、演出家、俳優。東京外国語大学中退後、劇団「東京乾電池」に参加。92年にフリーとなり、以後、数多くの演劇作品の作・演出を手掛ける。1989年「蒲団と達磨」で岸田國士戯曲賞、98年「テレビ・デイズ」にて読売文学賞、2017年「薄い桃色のかたまり」にて第21回鶴屋南北賞を受賞。俳優としてもテレビや映画作品に数多く出演する。近年の作・演出作品に『いのち知らず』『二度目の夏』『空ばかり見ていた』『青空は後悔の証し』『クランク・イン!』など。出演作に映画『花束みたいな恋をした』『大怪獣のあとしまつ』『サバカン SABAKAN』、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」など多数。
- 書名
- 岩松了戯曲集 2000-2022
- 著者
- 岩松了
- 装幀・装画など
- 装丁:葛西薫
- 仕様
- A5判 並製 (天地210mm x 左右138mm x 束幅35mm) / 524ページ / 710g
- 発売日
- 2022年10月21日
- ISBN / Cコード
- 978-4-89815-564-6 / C0074
- 定価
- 4,180 円(本体 3,800 円+税)