思い出の中で、ぼくはデコトラに揺られている。
ハンドルを握る父は、ムード歌謡を裏声で歌っていた。
四歳、九歳、十九歳、三十八歳の四章で綴る、ぼくと父の39年。
父や母、一番近くにいた人とのくすぐったい記憶がよみがえる、親子小説の傑作!
レ・ロマネスクTOBI、書き下ろし初小説。
<あらすじ>
「ぼく」は息子が生まれて、いろんなことを思い出した。そうだ、ぼくはずっとカリフラワーを七面鳥だと信じていたんだ。
ビルも地下も歩道橋もない、広島の林業の町に生まれたぼく。力も気も胃も弱い。父親・フミャアキは、酒を飲んで運転し、カープが負ければ家中のものを捨て、「早うせい」が口癖。「そとづら」だけはいい。デコトラで、スナックで、家業の乾物屋で、スキー大会で、野球場で、運動会で、結婚式場で、パリで……。四歳、九歳、十九歳、三十八歳の四章で綴られる、子と父の物語。
[プロフィール]
レ・ロマネスクTOBI(トビー)
広島県比婆郡(現在の庄原市)出身。フランスで結成された音楽ユニット「レ・ロマネスク」のメインボーカル。キッチュな楽曲を派手なメイクとコスチュームで歌い踊るパフォーマンスで徐々に人気を集め、2008年春夏パリコレでのライブをきっかけに、世界12カ国50都市以上で公演。09年フランスの人気オーディション番組に出演した動画のYouTube再生回数が、仏で1位を記録し、「フランスで最も有名な日本人」となる。「FUJI ROCK FESTIVAL’11」出演を機に日本に拠点を移し、精力的にアルバム・シングルをリリース。18年、就職した会社の連続倒産、銀行強盗に巻き込まれる、大西洋漂流など、自らの稀有な体験をまとめた書籍『レ・ロマネスクTOBIのひどい目。』(青幻舎)が話題に。「お伝と伝じろう」(NHK Eテレ)、「激レアさんを連れてきた。」「仮面ライダー セイバー」(テレビ朝日)、舞台『ウエスト・サイド・ストーリー』(19~20)、映画『生きちゃった』(石井裕也監督、20)への出演など活躍の幅を広げている。本書が初めての小説作品となる。
- 書名
- 七面鳥 山、父、子、山
- 著者
- レ・ロマネスクTOBI
- 装幀・装画など
- 装画:ワタナベケンイチ
装幀:有山達也、中本ちはる - 仕様
- 四六判 上製 (天地188mm x 左右130mm x 束幅24mm) / 288ページ
- 発行日
- 2021年03月22日
- 発売日
- 2021年03月01日
- ISBN / Cコード
- 978-4-89815-537-0 / C0093
- 定価
- 1,980 円(本体 1,800 円+税)