映画夜話

「映画館」という神聖な空間で語られる扇情的な映画論。

世界に誇る例外的な名画座=シネマヴェーラ渋谷で
約20年にわたり登壇してきた
20の大人気トークイベントを収録。

今すぐ映画館に駆けつけたくなる、甘く危険な語りの数々。

「ことによると、
人びとを映画館に向かわせるには、
悪意を秘めた何ごとかの方が
遙かに有意義であるかもしれません。
だとするなら、いかなる悪意とも
深く戯れる覚悟があると、
ここで秘かに告白しておきます。」 ─ 序文より

ロバート・アルドリッチ、ドン・シーゲル、ジョン・フォード、ダグラス・サーク、吉田喜重、加藤泰、フィルム・ノワール、B級映画……。
トーク関連特集上映の詳細なデータ、あらすじも収録。

往年のファンはもちろん、“蓮實入門”としても最高の1冊。

〈 映画ファン垂涎、ゲストとのトークも収録! 〉
大九明子(映画監督)、久保田智子(兵庫県姫路市教育長/元TBSアナウンサー)、瀬川昌久(ジャズ評論家)、岡田茉莉子(俳優)
倍賞美津子(俳優)、鈴木則文(映画監督) / 聞き手・山根貞男(映画評論家)
内藤由美子(シネマヴェーラ渋谷支配人)


[プロフィール]

蓮實重彦(はすみ しげひこ)
1936年東京生まれ。東京大学文学部フランス文学科卒業。1965年パリ大学にて博士号取得。東京大学教養学部教授を経て、1997年から2001年まで東京大学総長をつとめる。文芸批評、映画批評、小説など執筆活動は多岐にわたる。1978年、『反=日本語論』で読売文学賞、89年、『凡庸な芸術家の肖像 マクシム・デュ・カン論』で芸術選奨文部大臣賞、2016年、『伯爵夫人』で三島由紀夫賞を受賞。1999年にはフランス芸術文化勲章コマンドールを受章する。映画雑誌「リュミエール」創刊編集長。著書は他に『反=日本語論』、『フーコー・ドゥルーズ・デリダ』、『表層批評宣言』、『映像の詩学』、『シネマの記憶装置』、『映画の神話学』、『映画 誘惑のエクリチュール』、『監督 小津安二郎』(同書の仏訳はフランス映画批評家連盟文芸賞を受賞)、『ハリウッド映画史講義』、『映画狂人』シリーズ、『「ボヴァリー夫人」論』、『ショットとは何か』3部作、『ジョン・フォード論』、共著に『映画千夜一夜』(淀川長治、山田宏一)、『誰が映画を畏れているか』(山根貞男)、『映画長話』(黒沢清、青山真治)など多数。
※蓮實重彦の「蓮」「彦」は本来異体字での表記となります。

映画夜話 目次
 
 
始まりに向けて 7
 
 
Ⅰ『ハリウッド映画史講義』とともに 
 
ロバート・アルドリッチの世界
[『キッスで殺せ』上映前]
アルドリッチ、わたしたちを惹きつけるもの 12
 
蓮實重彦セレクション『ハリウッド映画史講義』
[『夜の人々』上映前]
B級映画とは何か 28
[『拳銃魔』上映前]
フィルム・ノワールの輝き 40
 
 
Ⅱ フォードを、断乎、観るのだ
 
蓮實重彦セレクション 二十一世紀のジョン・フォード
[『香も高きケンタッキー』上映後]
『ジョン・フォード論』は仇討ちの記録である 56
[『モガンボ』上映前]
傑作ではないにもかかわらず 72
[『誉れの一番乗』上映後 大九明子監督との対話]
好きに溢れていた一本 79
[『周遊する蒸気船』上映前]
恐ろしく豊かで出鱈目な 92
[『最後の一人』上映前]
哀しきMen Without Women 101
[『コレヒドール戦記』上映前]
身振りと声を見事に描いた傑作 106
 
 
Ⅲ ショットとは何か
 
初期ドン・シーゲルと修業時代
[『殺し屋ネルソン』上映前]
わたくしを狂わせた映画 118
 
またしても、ショットに見惚れて…
[『燃える平原児』上映後]
ドン・シーゲルの真の力 128
 
ウォルシュを観て死ね!
[『バワリイ』上映前]
グリフィス唯一の後継者 139
 
映画 ショット 歴史
[特集初日の特別講義]
映画は歴史と相性が悪い 150
 
デトレフ・ジールクからダグラス・サークへ
[『いつも明日はある』上映後]
映画、あるいは無意識の嘘 163
 
〈番外編〉ヌーヴェル・ヴァーグ前夜
[『情婦マノン』上映前]
エビス本庄映画劇場の思い出 177
 
 
Ⅳ 紳士淑女との対話 
 
吉田喜重レトロスペクティブ
[特集初日 久保田智子さんと]
吉田喜重の描く女 188
 
ミュージカル映画特集Ⅲ
[『巴里の屋根の下』上映後 瀬川昌久さんと]
緊張と脚線美 202
 
追悼特集 来るべき吉田喜重
[『さらば夏の光』上映後 岡田茉莉子さんと]
岡田茉莉子は岡田茉莉子でしかない 220
 
 
Ⅴ 活動屋談義
 
激情とロマン 加藤泰映画華
[『炎のごとく』上映後 倍賞美津子さんを迎えて 聞き手・山根貞男、蓮實重彦]
宿題をしてこない菩薩 238
[『喧嘩辰』上映後 鈴木則文監督を迎えて 聞き手・山根貞男、蓮實重重彦]
まるで辰、なコーブンさん 256
 
内藤由美子・シネマヴェーラ渋谷支配人インタビュー 275
 
 
巻末 本書に関連する特集上映(シネマヴェーラ渋谷通信より)

書名
映画夜話
著者
蓮實重彦
装幀・装画など
ブックデザイン:服部一成 榎本紗織
仕様
四六判 並製 (天地188mm x 左右130mm x 束幅25mm) / 340ページ / 304g
発行日
2025年06月09日
発売日
2025年05月28日
ISBN / Cコード
978-4-89815-610-0 / C0074
定価
2,750 (本体 2,500 円+税)
書籍
定価 2,750 (税込)
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