没後40年。今なお世界中で人気を誇る
伝説のアーティスト・井上有一。
自身の文章と代表的作品で知る、その素顔。
* * *
旧来の書壇から距離を置き、国内外で作品を発表。
そのかたわら、定年まで小学校教師として働き
勤務校で宿直中に東京大空襲に遭遇、
仮死状態になるも、8時間後蘇生……。
代表作「花」や、「噫横川国民学校」など、
感情がそのまま迸るようなエネルギーに満ちた作品を遺した。
井上有一は、何を思い、どんなふうに
作品を作ったんだろう?
日本、アメリカ、スイス、ドイツ、韓国、イタリア、イギリス、中国、UAE、フランス……現在まで世界中で展覧会が開かれ、「書」という枠組みを超えて前衛美術の文脈でも高く評価されている。
井上有一は、なぜ、世界で人気なのか?
どんな字を、どんな筆、墨、紙で書くのか検討した仔細な制作記録、創作にも多大な影響を及ぼした「東京大空襲」のこと、教師という仕事についてなど……全15篇。多数の作品や写真とともに、巻末には略年譜も収録し「井上有一入門」にも最適。
井上自身が綴った文章と代表的作品から、
人間 / アーティスト「井上有一」に迫る。
*本書は、芸術新聞社より刊行された『日々の絶筆 井上有一全文集』(1989年3月刊)、『書の解放とは 井上有一全文集 日々の絶筆増補決定版』(1996年11月刊)及び、平凡社ライブラリー 『新編 日々の絶筆』(2001年6月刊)を底本としました。
[プロフィール]
井上有一(いのうえ ゆういち)
1916年、東京生まれ。東京府青山師範学校を経て、小学校教員となる。画家を志すが、その後、書に転じ、41年、上田桑鳩に師事。45年の東京大空襲の際、児童らとともに被災、仮死状態から8時間後に蘇生。46年、神奈川県茅ヶ崎町の国民学校に勤務。50年以降、書道芸術院展、毎日書道展などへ旺盛な出品活動を展開。52年、桑鳩のもとを去り、墨人会を結成、本格的な創作活動に入る。54年、ニューヨーク近代美術館における日本書道展への出品を皮切りに、以後、海外での美術展への出品を続け、高い評価を受ける。70年、美術批評家海上雅臣と出会い、以後、氏によって広く紹介されていく。76年、神奈川県寒川町立旭小学校校長として退職。
教員在職41年5ヵ月。85年没。享年69歳。没後『日々の絶筆 井上有一全文集』、『書の解放とは 井上有一全文集 日々の絶筆増補決定版』(いずれも芸術新聞社)、『新編 日々の絶筆』(平凡社ライブラリー)、『東京大空襲』(岩波書店)、『花』(リトルモア)などが刊行された。
[目次]
私の作歴
制作過程の記録
「構成する」ということ
ぼくの一字書
漢字と私
「花」の場合
なぜ「言葉」書か
技法の発見
「東京大空襲」を書く
日々の絶筆
古典を見る
とてつもないもの
二つの道
文字を拝むということ
戦中教師余話
あとがき 海上和子
井上有一略年譜
- 書名
- はじめての井上有一
- 著者
- 井上有一
- 装幀・装画など
- 編者:一般財団法人井上有一記念財団
デザイン:佐々木俊+大倉龍司(AYOND) - 仕様
- 四六判 並製 (天地188mm x 左右128mm x 束幅13mm) / 160ページ / 205g
- 発売日
- 2025年07月31日
- ISBN / Cコード
- 978-4-89815-612-4 / C0070
- 定価
- 2,420 円(本体 2,200 円+税)


