降りそそぐ雨と 銅板に刻まれた どこにもない記憶(=傷)のイマージュ
雨の日の観覧車、濡れたベッド、水たまりに浮かぶ家、壊れたブランコ……。
誰もいない世界にそそがれる、寂しく、懐かしい視線。
新進銅版画家・イノウエチハル、待望の初作品集。
「なぜ雨なのだろう?わたしの刻んだわたしの絵には、なぜ、雨が降り続いているのだろう?
雨の向こうに見える、 どこか遠くのあるいは近くの、いつかどこかで見たような、どこにもない場所へとわたしは繋がって、気付かずついた傷跡を、じっと遠くで眺めている。
言葉にできない滲んだ感覚は、いつも雨の向こうにあって、絵にしかできない記憶には、いつも雨が降っている。
この絵たちが生まれてきたのは、きっと雨のしわざ。雨の中に刻まれた雨の記憶。 なのかも。」
――『雨傷』あとがきより――
- 書名
- 雨傷 イノウエチハル銅版画集
- 著者
- イノウエチハル
- 仕様
- A5判変形 (天地210mm x 左右210mm) / 116ページ
- 発売日
- 2003年10月
- ISBN / Cコード
- 978-4-89815-085-6 / C0071
- 定価
- 1,650 円(本体 1,500 円+税)