「アンネだったら、いったい今のこの世界を、どんな風に書く?」 アンネ・フランクは、日記を「キティー」と名付け、日記はいつも心の友「親愛なるキティー」へ宛てた手紙のように綴られた。 私は、心の友キティーを持つ、アンネが羨ましかった。書くことで、どんなに不条理な現実や困難にも、ひとり懸命にそこに立ち向かってゆくアンネの姿は、素晴らしく強く、美しく見えた。 私は二冊の日記たちを抱え、旅をしていた。 一冊は、アンネがアムステルダムで《隠れ家》の日々を書き記した日記。 もう一冊は、アンネとおなじ年に生まれた私の父が、金沢で敗戦の日々を書き記した日記。 ベルゲン・ベルゼン、アウシュビッツ、アウシュビッツ・ビルケナウ、ベステルボルク、アムステルダム、フランクフルト・アム・マイン…アンネの足どりを死から生へ遡りながら、私自身も日記を書いた。 『アンネの日記』と「父の日記」に導かれた、 死から生へと向かう、命の感触をもとめた17日間の旅。 時を超え、響きあう三冊の日記とその日付――。 旅を通して、個の有り様を静かに問い直す渾身作。 ……ひとりひとりが、その人生の選択の余地を、握っている。 - - - 「親愛なるキティーたちへ」展 2011年4月26日(火)まで開催 *会期中無休 10:00 – 21:00(最終日は17:00まで) LOGOS GALLERY(渋谷パルコ パート1/B1F)にて 入場無料 - - -
- 書名
- 親愛なるキティーたちへ
- 著者
- 小林エリカ
- 仕様
- 四六判変形 / 242ページ
- 発売日
- 2011年06月13日
- ISBN / Cコード
- 978-4-89815-312-3 / C0095
- 定価
- 1,760 円(本体 1,600 円+税)