「天皇が助けに来てくれると信じていた」 2000年12月、女性国際法廷で慰安婦問題に関する加害者として証言をした金子安次さん(85)。浦安の漁師の家で生まれ、屑鉄屋に働き、大型バイクを乗り回した戦前。中国山東省の戦地での経験。終戦後のシベリア抑留と中国遼寧省、撫順戦犯管理所での生活。帰国後の一般社会とのズレ。執拗な警察による行動調査。 本書は、新進気鋭のノンフィクションライター熊谷伸一郎氏が金子さんに長期にわたる取材をし、まとめたあげた“金子安次”という一人の人間のノンフィクション。 金子安次さん、85歳。 2000年12月に開かれた女性国際戦犯法廷で、慰安婦問題に関する加害者として証言台に立った人物です。中国の侵略戦争の実体を、性暴力の当事者として伝えていこうと活動しています。 “べらんめえ調”で語る金子さんの話の数々は、“言葉”でしか認識できなくなった戦争をひとつの“行為”として蘇らせる。一人の人間の軌跡をたどることで、加害者としての戦争の側面にはっきりと光を当てる力作です。
- 書名
- 金子さんの戦争 中国戦線の現実
- 著者
- 熊谷伸一郎
- 仕様
- 四六判 / 236ページ
- 発売日
- 2005年08月
- ISBN / Cコード
- 978-4-89815-156-3 / C0021
- 定価
- 1,980 円(本体 1,800 円+税)