風の音が聴こえますか、人には魂があることを信じますか。 初恋の人の記憶を辿る旅を続ける老婦人。夫の暴力から逃れて、沖縄へ舞い戻ってきた和江と息子・マサシ。新たな生き方を求めて動き出そうとする人々。戦争の傷跡をなでるように、それぞれの心に風音が鳴り響く。 「生活とは?沖縄とは?」日本にとって、日本人にとって、見過ごす事のできない問題小説となりました。人々の繊細な心情を丁寧に描いた本作は、心に深く深く刻まれます。常に沖縄から問いかけてきた、目取真 俊にしか書けない本当の沖縄の姿がここにあります。 【序章】村の風葬場には、戦時中命を落とした特攻隊員の頭蓋骨が置かれ、海からの風が吹くと頭蓋骨に空いた銃弾の跡を抜け、物悲しい音が鳴り響く。島の人々はその音を“風音(ふうおん)”と呼んでいた。風音に人は何を聞くのか、風の島の物語が今始まる。 自ら脚本を手掛けた映画「風音 The Crying Wind」も公開された。
- 書名
- 風音
- 著者
- 目取真俊
- 仕様
- 四六判 / 205ページ
- 発売日
- 2004年04月
- ISBN / Cコード
- 978-4-89815-115-0 / C0093
- 定価
- 1,430 円(本体 1,300 円+税)