トーチカ、掩体壕、砲台、兵器試験場。終戦から60年たった今も日本全国に残る戦争遺跡。 カラー76ページに及ぶそれらの写真群は、滑稽さと畏怖の念を同時に抱かせ、見る者をひき付ける。本書はそうした“戦争のかたち”を、著者である下道基行氏が丁寧に撮り下ろし、文・図によって詳細に紹介し、追跡するドキュメンタリーである。 4年前のある日、下道氏は、ピザ配達のアルバイト中、自宅近くでコンクリート打ちっぱなしの二階建ての廃虚を発見する。それは戦時中、変電所として使われていた建物だった。見慣れた風景にふいに滑り込んできた戦争の残骸という非日常に強烈な印象を受けた下道氏は、各地に現存する戦争の残骸を集め始めた。大阪の砲台跡に住む人や、北海道でトーチカを実際に造っていた人へのインタビュー、東京湾に浮かぶ立ち入り禁止の人工要塞へゴムボートで上陸したりと体当たりの取材を敢行。竹島問題に揺れる韓国・済州島へ渡った取材記や、オーストリア・ウィーンにあるナチスの高射砲塔跡の見学記も収録しました。 巻末には「“戦争のかたち”の歩き方」と、ガイドブック的要素も盛り込みました! 観念的な歴史ではなく、建造物という、あくまで即物的な戦争を追うなかで、新しい“戦争のかたち”がみえてくる。
- 書名
- 戦争のかたち
- 著者
- 下道基行
- 仕様
- A5判 / 120ページ
- 発売日
- 2005年07月
- ISBN / Cコード
- 978-4-89815-155-6 / C0072
- 定価
- 1,980 円(本体 1,800 円+税)