アジアの夜。 光に溶けず、闇に染まらず、したたかに生きる女たち。 台湾の街道筋に立ち並ぶ、電飾を施したガラスの箱の中で、今夜もビンランを売る女性たち。 その生の輝きが、見る者の現実を超えた存在感で迫る。 見ているうちに目が眩み、感覚が麻痺していく、この写真集はまるでビンランそのもののよう。 ビンラン(檳榔): ヤシ科の植物で、種子には覚醒作用があり、アジア各地の庶民のあいだで親しまれている。台湾では先住民族の嗜好品だったが、やがて漢民族にも広まっていった。 噛むと口中が真っ赤な唾液で満たされる。吐き出された唾液の痕は、その鮮血のような色と花びらのような形から、ティーユーフォア(地獄花)と呼ばれるという。
- 書名
- binran
- 著者
- 瀬戸正人
- 仕様
- A4判 / 96ページ
- 発売日
- 2008年10月25日
- ISBN / Cコード
- 978-4-89815-252-2 / C0072
- 定価
- 3,080 円(本体 2,800 円+税)